今日は『スマホ脳』の第5章と第6章を読みました。
印象に残った部分は次の通り。
第5章 スクリーンがメンタヘルスや睡眠に与える影響
極端なスマホの使用が、ストレスと不安を引き起こし、何よりも睡眠に影響を及ぼす。
人間にとって睡眠は昼間壊れた脳内のタンパク質を除去したり、短期記憶を長期記憶へ移動させる固定化を行うための大切な時間である。
しかし、入眠前のスマホの使用は、脳にストレスを与えて寝つきを悪くする。また、ブルーライトは脳を目覚めさせ、眠りに必要なメラトニンの分泌を遅らせてしまう。
精神科医である著者は、この数年不眠を訴える患者の数が爆発的に増えていることを実感している。
第6章 SNS ー現代最強の「インフルエンサー」ー
人間は生き延びるために他人の情報(ゴシップ)の獲得が必要だった。そして私たちの脳は特に悪い噂を偏愛する。誰が敵か、誰と誰が争っているかといった悪い噂は生きていくうえで必要な情報だったからだ。
噂話は敵から身を守るためだけではなく、人間特有の社交性への欲求からも好まれる。そしてこの社交への欲求が、現代ではスマホやパソコンの中へ移動している。
フェイスブックは常に周囲のことを知っておきたいという人間の欲求と、「自分のことを話したい」という欲求の二つをネットワーク化することで成功した企業だ。
SNSはボタン一つで20億人のユーザーとつながる便利な道具だ。しかし、「現実に」人と会う人ほど幸福感が増していたのに対して、フェイスブックに時間を使うほど幸福感は減ったという調査結果がある。SNSは現実の社交の代わりにはならないらしい。
フェイスブックやツイッターは、自分より賢い人や成功している人がいるという情報を常に差し出す。SNSを通じて私たちは何百万人もの相手と自分を比べることで、自信を無くしているのではないか。
フェイスブック上のアクティビティで積極的なコミュニケーションはわずか9パーセント。社交の手段としてSNSを使う人はそれから良い影響を受ける。対して、社交生活の代わりにSNSを利用する人は、精神状態を悪くする。
脳内にあるミラーニューロンと呼ばれる細胞は他者を模倣することで学習をする。他者の動作だけではなく、「他人がどう感じているか」も理解する。
脳のミラーニューロンを最大限に機能させるには、他者に実際に会う必要がある。大学生を対象とした調査では他者への共感力が80年代より低下して、ナルシズム傾向が強くなってきていることが分かった。デジタルライフが共感力の低下に影響を及ぼしていないか心配される。
私自身はデジタル難民を自覚している階層なので、本書であげられている事例のほとんどに当てはまらないと思うのですが(多分)、現在の若者と今後を考えると、暗い気分になってきました。
今回読んだ部分で、一番好きだったのはここ。
「テクノロジーのほうが私たちに対応するべきであって、その逆ではないはずだ」(160頁)
ほんとにその通り。お金儲けのために、人間の原始的な欲望や脳の働きを利用して、人間の健やかさを損なうようなものを開発してほしくないです。